1107 銀製耳盃（唐）

1107 銀製耳盃（唐）

長さ13.9�僉Ｉ�10.7�僉９發�5.2�僉�重さ95.4g。

古美術の世界では「耳盃」で知られますが、支那文学では古来「羽觴」と呼びます。
雀を象って翼の形を付けた盃とされています。

従って盃をやり取りする事を「羽觴を飛ばす」と言い習わしますが、わが国でその実物を見た人が居なかったから、昔の人は本当の雀の形をした盃が有ったと思っていたでしょう。
この様に支那古典には「舞文曲筆（文辞をもてあそび、事実を曲げて書く事）」が普通に行なわれ、作法の一種にもなっていたので、明治以降の人が現地を訪れたり実物に接した時に驚嘆して、そこから新たな誤解の生まれるもとになりました。
大陸の古文化財に接する人は、文献を妄信せずに、実物を見る事が大切だという好例です。

本品は李白の「春夜桃李園に宴するの序」という作品に「羽觴を飛ばす」と有るのが一番有名な用例です。江戸時代には知識人必須の慣用的な詩句でした。

本品は大半が緑青に包まれていますが、耳の部分等に銀白の地が出ています。
そこに粒状や萠草紋が精密に凸刻してあります。

器背の高台は捻じった縄紋の形になっています。耳のある側面が曲線になっていて、ペルシャから伝来した物か、唐でそれを模した作と思われます。
市場には殆ど出ない珍品で、今後入手の機会は稀です。
その時はもの凄い値が付くでしょう。

桐箱入り。
490,000円(税込539,000円)