高18㎝。胴径17㎝。重936.2g。
胴部に大きく蘭の花と、それを慕う胡蝶とを線刻し艶やかな褐釉を掛けた作。
酒や油を容れた壺。
口部も施釉されている事から判りますが、蓋はもとから無く、紙を当て紐で縛りました。
底は平底。
本品に刻花された花も蝶も、全く萎縮のない伸びやかな作風で、工匠が憧れていた楊春の一番美しい光景を絵にしたのでしょう。
口部に1か所の釉ソゲが有りますが、他には欠点となる目立つ傷が有りません。
金は遼と元に挟まれた戦乱期の短命な王朝で、陶磁の遺品は僅かです。
本品は大陸近海の沈没船からの海揚がり品です。
私が若い頃、同作壺を扱った事があり、生涯2つ目の名品です。
本品の様に実用された物は、沈船の積み荷だった物が、こうして完品として残るのみです。
今回の入手のチャンスは稀少でしょう。
桐箱付き。